バリ島マンボウシーズン
今年も遂にバリ島の海にあいつが現れる季節がやってきた。
多くのダイバー、海水魚ファンを魅了してやまない憎いやつ。
そう マンボウです!
バリ島でダイビングしてみたって人って半分くらいはマンボウ見たい!マンボウ大好きって人だと言っても過言じゃない。
かくいう僕も11年前 マンボウ見たさにバリ島を訪れ、その魅力に打たれた一人です。
そんな人々に愛されてやまないマンボウですが
案外その本当の姿は知られていないもの
今回はそんなマンボウの本当の姿を徹底的に掘り下げてみたいと思います。
マンボウって一体何者?大きさ、寿命、何食べる?
マンボウの食性
マンボウのことでよく聞かれる質問があります。
「マンボウって何食べてるんですか?」
うーん よく言われてるのが、クラゲやイカ食べるっていうことですよね。
クラゲ食べてる姿は頻繁に目撃されてます。
胃袋の内容物からみてイカ、魚、動物性プランクトン、水底にいるカニとかも少しは食べてるようです。
ただマンボウにはイカとか魚捕えるのって、ちょっとハードル高いんじゃないかな?という印象があります。
実際かなり”おちょぼ口”ですからね
クラゲは簡単に食べられるでしょうが、どんだけカロリーあるんだろう?という素朴が疑問も…
マンボウは消化器官が弱いという話ですから、カニなんかを食べるのにも限界があります。
あれだけの巨体を維持するからには、大量にかつ安定して食べられる必要があるはずなんです。
マンボウ実は結構深い海に普段生息していています
200m~最大800mくらいの深海といわれる海域にいることが多いのですが
その深い海で大量のクラゲを食べるか、オキアミ(エビの小っちゃいやつ)なんかを食べているんじゃないかと個人的には思っています。
バリ島マンボウの大きさ
「マンボウって大きいんですか?」
これもマンボウ狙いのダイビングの前には、ストレートによく聞かれますね。
バリ島で見られるマンボウはマンボウの中でも大きめの種である”ウシマンボウ”だと思われます
一番頻繁に見られる大きさは2.5mくらいのマンボウが多いです。
例えるなら、”キングサイズのベッド”くらいの物体が海の中で、ででん!と現れるような感じです。
最大ではで4.2m重さにして3トンのマンボウの記録があるそうです。
トヨタ ハイエースを縦に置いたくらいの感じですよ。
妖怪でいえば”ぬりかべ”?
ジンベイザメやマンタもそうなんですが、完璧な自然環境で遭遇する、自分よりも遥かに大きい生物って、迫力があります。
生物として畏怖を感じるっていうか、何か本能的なものにバシッとくる感じがありますね。
マンボウの寿命は?
マンボウはいまだ解明されていないことの多い、謎多き生物ですが、寿命もその一つです。
水族館などの飼育環境下では10年といわれていますが、マンボウに近い種のヤリマンボウ(?)は80年生きるという説もあり、マンボウもおそらくそのくらい生きるのではともいわれていますが、未だ解明されていません。
ゾウなんかもそうですが、体が大きくおっとりした雰囲気の生物は、だいたいが長生きです
なのでマンボウも人間並みに長く生きる可能性は高いですよね。
何十年もの生涯の間に、マンボウはどんな海を旅して来ているのでしょうか。
マンボウの産卵
マンボウは一度に3億個も卵を産むという話が拡散しています
正確にはメスの卵巣には3億個近い卵があって、一度には4000万個ほどの出産を生涯かけて何度かするようです。
生まれた卵は分離浮遊卵といってバラバラに海に流れて行ってしまい、ほとんどは魚のエサになってしまいます。
これは一か所にまとまって卵を産んで、全部食べられてしまうよりか、何個かだけでも残って大きく成長してくれればとラッキーというマンボウの生存戦略。
しかしこの’’数うちゃ当たる’’作戦、合計3億個は魚の出産数の中でもダントツです。
他の魚では
◎マグロは1000万〜4000万粒
◎サケは2000〜3000粒
マンボウの卵は海の魚の食糧不足にも大いに貢献してるんです。
マンボウの憂鬱
マンボウと寄生虫の一生
マンボウという生物に思いを巡らすにあたって、さけて通れないのが”寄生虫”です。
魚の皮膚には鱗がありますが、マンボウには鱗がないといっても過言でないくらいの小さな鱗しかありません。
そのため皮膚が弱く寄生虫に取りつかれやすいのです。
40種類以上の寄生虫が皮膚や体内に住み着いているらしく、代表的なのはよく聞くアニサキスです魚の内臓やカツオのハラスによくみられる寄生虫です。
マンボウの一生はこの寄生虫という悩みと付き合っていく一生なのです。
これは想像してみるとかなりつらい…
僕ら人間ならば、水虫になって足がかゆくて、かゆくて仕方ないけど。
後ろ手に、手をロープとかで縛られちゃって痒くても絶対かいちゃだめ!みたいな一生。
背中が痒くてかゆくて仕方なくて、「お願い!背中かいて!」って頼んでるのに
「痒いはここかな?あれ違うのかなー?」って焦らし続けられる一生。
いたずら同級生が背中にバッタとか入れてきて
飛び上がりそうなくらい気持ち悪いのに、絶対とっちゃいけないみたいな一生。
くどいようですけど、マンボウはこれが一生なんですよ。
あんなにおっとりとした表情の裏には凄まじいまでのカルマ
その実とても業深き生涯を送る生物なのです。
マンボウの天敵は?
しかしこの寄生虫、マンボウを脅かすだけのものではありません。
この大量の寄生虫のおかげで、マンボウはサメやシャチといった大型の捕食者に狙われずすんでいるのだというのです。
マンボウがアシカにかじられた!なんて動画もありますが、おそらくそれはとても稀な出来事。
サメなどの大型の捕食者はマンボウを食べたら、寄生虫で腹壊して大変だ!ということをよくわかっていてマンボウを襲うことは少ないのです。
日本では一部マンボウを食用で食べる地域もありますが、刺身で食べる際には冷凍処置をして寄生虫を殺してから食べるそうですよ。
マンボウのジレンマ
しかしマンボウの死因のほとんどは寄生虫によるもので、鰓に取りつかれて呼吸困難で死亡。内臓をやられて死亡。
まさに”諸刃の剣”寄生虫。
このジレンマを振りほどくためにこそマンボウは様々な特有の行動をとります。
水面で体を横たえて日光で除菌と寄生虫の駆除をしたりします。
寄生虫を落とすためにマンボウは有名な水面マンボウジャンプをします 。
その際にびっくりして死亡!というのは都市伝説ですが
もしかしたら
「もうダメだこんな体中痒い一生なんてやってられるかぁー!」
海を突き抜けてジャーンプ‼
バッチャーン‼
ストレスも極限を迎えていたために死亡…
という必死にカルマから逃げ切ろうとした個体もいたのかもしれませんね。
浅場に上がってきて魚に体表の掃除をしてもらいます。
そうなのです。
マンボウは体が痒くて痒くて仕方なくなり、浅場に上がってきては、タテジマキンチャクダイやハタタテダイ、といったサンゴ礁に住む魚に体をつついてもらって、憎き寄生虫を払ってもらう、クリーニングという行動をとるのです。
バリ島ヌサペニダではまさにこの時にマンボウとダイバーが遭遇できるチャンスがあるのです。
ダイバーにとっては千載一遇、劇レア生物マンボウに出会えるチャンスですが
マンボウにとっては、やっと浅場までたどり着き
痒くて痒くて仕方なかった背中をかいてもらえる待ちにまった瞬間。
今度は人間に囲まれて、写真パシャパシャ取られるのです。
トイレに行きたくて行きたくて、必死でこらえて、公衆トイレに辿り着いた芸能人がいるとして
やっとトイレは入れるって時に
「すみませぇーん 一緒に写真とって貰ってもいいですかぁ?」
って言われるくらいの鬱陶しさ…
つまり何がいいたいの?
もう すごく話が長くなってしまったのですが
何が言いたいのかというと
つまり、もっとマンボウに優しくしたい。
いや みんなもっと優しくしましょうよ!
ってことなのです。
マンボウよ。
拝啓マンボウよ
お前の苦悩に満ちた生涯を、俺は少なからず理解する。
マンボウよ
それでもなお、とぼけたような顔をして
呑気なやつと人に思わせてるお前に、尊敬の念すら抱くよ。
マンボウよ
今度お前に会うときには、前の俺よりきっと、もっと優しいまなざしでお前を見つめられるだろう。
だから愛しいマンボウよ
俺の前にはその可愛い姿を見せておくれ。
バリ島でマンボウを見てみたい!という方はこちらの記事も参考にどうぞ
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