‘‘耳抜き‘‘マスターへの道 その1 耳抜きの誤解と理解

スキューバダイビングでも、スキンダイビングやフリーダイビングでも、海の中の世界に入っていくのに一番大切なスキルといえば ‘‘耳抜き‘‘

そして、初めて海に潜る人が一番つまづきやすいのも、この‘‘耳抜き‘‘ 

海に潜れるようになっても、‘‘耳抜き‘‘にはまだ苦手意識がある

素潜りで10m超えると耳抜きできなくなる

など

‘‘耳抜き‘‘って奥が深いというか、根が深いというか

というのも

‘‘耳抜き‘‘できるできないって、生理痛が重いとか、肩こりから頭痛がする、みたいなとっても感覚的な問題なので、言語化での解決が難しいですよね

それでも

誰でもちゃんと‘‘耳抜き‘‘できるメソッドがあれば、きっと海の世界を楽しめる人の数は爆上がりするはずです。

というわけで

ヒロユキ

今回は、ダイビングのインストラクターとしての僕にとって‘‘命題‘‘ともいえるこの題材、重い腰を上げて丁寧に向き合ってみようと思います。。

耳抜き初心者からフリーダイバーを目指す上級者まで、耳抜きのしくみとテクニックを徹底解説していくため、数回に分けての連載記事となります

‘‘ふわっ‘‘としたことは言わず、具体的で実践的なことだけ書いていくつもりです。

何話まで続くかわかりませんが、あなたにとって必要と思える部分までお付き合いくださいませ

耳が抜けないってどういうこと?

耳抜きの練習というと

ほとんどの人が、鼻をつまんで やみくもに鼻を膨らませるような練習をしがちですが

本当に効果のある耳抜きの練習は違います。

実は最初の段階で

‘‘耳がつまる‘‘感覚をきちんとつかんで練習しないといけないのです。

これは難しくありません。

鼻をつまんだら、その状態で鼻から空気を吸おうとしてみるのです。

そうすると鼻がしぼんで、耳抜きとは逆に耳の中が内側に引っ張られて、薄っすら耳が詰ったような、耳鳴りがするような、微妙な状態になります。

この微妙な状態のまま、今度は反対に鼻に息を優しくゆっくり吹き込んでみてください。

詰まった耳をもとに戻してあげるようなこの感覚こそが、正しく耳抜きの感覚です。

耳抜きが上手くいく一番のコツに

「耳抜きはできる限り優しくこまめに、何度もやる。」

というのがあるのですが

海の中で耳抜きがうまくいかない人の多くは

耳がかなり詰まって、ほとんど痛いような状態になってから耳抜きをしようとするので、うまく抜けなくなってしまうものなのです。

しかし、ほとんどの人はエレベーターやトンネルといった圧力変化が少しだけあって、軽く耳が詰まるようなところでは苦も無く耳抜きができるものです

まず、陸上で耳がうっすら詰まった状態を作って、その感覚を覚えておいて、そのくらい耳が詰まったら耳抜きをするという事を心がけていくことが大切です。

ヒロユキ

耳抜き上達の第一歩は、圧力の変化に敏感になることなのです。

耳抜きの仕組みと耳の中の解剖学

体感として、耳が詰まる、ぬける、ということが分かったら

どうしてそんなことが体に起こってくるかを、仕組みをもう一度考え直してみましょう。

耳の穴の奥には鼓膜という薄い膜があって、その内側は中耳炎で有名な「中耳」という空気の入った空間になっています。

水に潜ると水圧でこの中耳の空間の圧力が低くなるせいで、鼓膜が内側に引っ張られて耳が詰まる。

という感じになるんでしたね

では、耳抜きをするとどうなるのか

鼻から抜けない空気は、鼻の奥にある細い管、「耳管」に入っていきます。

耳管というのは長さ3.5㎝、太さ2㎜ほどの細い管です。

耳抜きを考え、トレーニングしていく上で一番大切なのは、耳でも鼓膜でもなく、この耳管です。

耳管は普段、大切な中耳に細菌やウィルスが入らないよう、口蓋筋という筋肉に押されて途中が閉じているのですが、鼻から逆流する空気の力で、閉じている耳管が開き、中耳に空気が入ることで、中耳の中の圧力を高くして、内側に引っ張られている鼓膜をもとに戻してくれるので、耳の違和感がなくなる。

これが‘‘耳抜き‘‘の正体です。

耳抜きには、いろんな方法がありますが、結論、この耳管の閉塞部を開くということが、耳抜きなのです。

この記事を見ている方は、何かしら耳抜きについての悩みがあって、克服したいと感じている方だと思います。

耳抜きに対して、より明確なイメージをもってもらうために、少し気持ち悪いですが耳管閉塞部の写真も上げておきます。

Aが閉まっている状態、Bが開いている状態です。
ヒロユキ

鼻の奥に、もう一つ小さな鼻の穴があるイメージですね。

海への潜るのは最初の5mが大切

耳が痛いと感じる深さまで耳抜きなしで潜ると

中耳の圧力はかなり低くなって、鼓膜を引っ張るだけでなく、この耳管も強く閉じてしまうのです。

なので、耳抜きしても耳管が開きづらい、耳抜きが上手くできない

勢い、思いっきり強く耳抜きをしたりして、逆に中耳や鼓膜を痛めて、もっと耳抜きできなくなっちゃう悪循環

これが、耳抜き苦手な人の一番多いパターンなんですね。

では、ここまでわかったうえで、最初にふれた耳抜きのコツへ戻りましょう。

「耳抜きは優しくこまめに、何度もやる。」

特に、水圧の変化が大きい 水深5mまでが一番大切です。

1m潜るごとに1回のペースは最低守って耳抜きをしましょう。

さらに最初に効果的なのは、プレイコライジングという方法です。

これは、潜りはじめる前に水面で一度耳抜きをして、中耳に空気を送ってあげてから潜りはじめるという方法で、これによって一番水圧の変化が大きい最初の2~3mで耳に負担をかけないようにするのです。

そして、耳が抜けない、違和感を感じたらそのまま放置せず、痛くなる前に水深を上げて、もう一度耳抜きすることが大切です。 

耳の中や耳管は粘膜です。一度でも負担をかけると、目にゴミが入って赤くなるように、充血して耳管が通りづらくなります。

できるだけ、強く耳抜きをしないように進んでいくことがベストなのです。

第一話 まとめ

ということで、耳抜き完全攻略法 第1話 ここまでのまとめです。

  • 耳抜きのシュミレーションをやるときは、一回鼻で息を吸い、詰まった状態で行いましょう
  • 耳抜きとは、鼻の奥にある耳管を開いてあげること。
  • 耳抜き上達の近道は、圧力変化に敏感になること、「耳抜きは優しくこまめに、何度もやる。」
  • 潜る前に、プレイコライジングをしましょう
  • 痛くなるまで放置しないで、違和感があれば少し深度を上げましょう

第1話はとっても基本的なお話でした。

次回、耳抜きマスターへの道 第2話は

ヒロユキ

「実践 耳抜きが楽になるトレーニング法とストレッチ」について書いていこうと思います。。

ではまた!

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