こう見えて案外読書家 ヒロユキです。
皆さん、ひとりの時間どうして過ごしていますか?
You tubeばっかり見てる。なんとなくインスタやfacebook眺めてる。という方も多いでしょう。
コロナのせいでバリ島にダイビング行くはずだったけど、キャンセルするしかなかった。という方もいるでしょう。
今回はそんな海に行きたくても、行けない!という方が、尚更 海に行きたくなるような、おうち時間のご提案をしようと思います。
今までに実際僕が読んできた本の中から、海やダイビングがストーリーに絡む「読んだら海に行きたくなる本」おすすめ5選のご紹介です。
「シーズ ザ デイ」 鈴木光司
最初から、とっておきのおすすめ小説を出していきますね。
「シーズ ザ デイ」 あらすじ
主人公は 妻に突然離婚を言い渡される、不運続きの40代の男性、船越。若い頃にヨットマンだった船越が、人生の再出発にと購入した、中古のヨットを新しい住居にして暮らし始めるところからストーリーがはじまります。
そんな彼にふたつの知らせが届きます。
ひとつは、昔の恋人から、船越に知らせずに生み育てた中学生の娘 陽子が妊娠したまま、家出をしたという知らせ。もうひとつは、16年前に船越らが挑戦した太平洋横断のさなかに、沈没して行方知れずになったクルーザーが、知人のダイバーによってフィジーの海底で見つかったという知らせ。
船越は、見つけ出した実の娘 陽子を再生させようと、ヨット乗りとして鍛えていく。そして、彼自身を呪縛してきた16年前の事故の真実を突き止めるべく、沈没したヨットのあるフィジーを彼女とともにヨットで目指す決意をする。
過去と運命が交錯する中、船越はまた自らの手で帆をあげる。
勝手に本の感想
16年前の事故の真相が、物語の展開とともに明らかになっていくサスペンス感とともに、血のつながりと運命という、壮大なテーマが展開していく小説です。
著者は「リング」「らせん」で有名な作家の鈴木光司さん。ホラー作家というイメージが強いですが、実は海を愛するヨットマンとしての顔も持っているんです。
ヨットでの航海の描写がリアルながら、ヒロインとして登場する女性が、ダイビングのインストラクターで、フィジーや、パラオが舞台になり、ヨットだけでなくダイビングのシーンもふんだんにでてくるところがなお素敵!
人生で何かに挑戦しなきゃいけない時に読みたくなるような、勇気をくれる一冊ですね。
「 ウォーレスの人魚 」 岩井俊二
映画「スワローテイル」で有名な岩井俊二 監督の書いた、人魚伝説にまつわる長編小説です。
映画「ACRI」という作品の原作にももなった話なので、知っている人もいるかな?
映画では浅野忠信が主演でしたね
「ウォーレスの人魚」あらすじ
セント・マリア島のイルカ研究所で、人魚と思われる不思議な音波を操る生物が捕獲される。
沖縄で海難事故で遭い、3カ月間海底に沈んでいたのにも関わらず、生還した男子大学生が現れる。
人類はかつて海に住んでいたと唱える「ホモ アクアリウス」という学説を追って、様々な人間たちの欲求が渦巻きだす中、人魚は、その血に導かれるように、恋におちる。
勝手に感想
ネタバレならないように、あらすじ紹介を短めにご紹介しましたが、とてもこんな文章では表現しきれないほどの、圧倒的なストーリーテリング、生物進化論という切り口を見事に使って描かれた、現代の人魚伝説。岩井俊二 監督の渾身作です!
「イルカが高周波で水に絵を描いたとして、あなたにはその絵が見えますか?」
「イルカの絵があなたたちに見えない限り、あなたたちはその絵が存在しない絵だとおもうでしょう。」
ウォーレスの人魚 岩井俊二
( 食べたのか? )
ウォーレスの人魚 岩井俊二
融合だわ
アンコウの類に見られる現象よ。オスはメスの身体に吸収されてしまう。
( なんのために? )
確実に受精するためよ。深海の生物は数が多くないの。だから一生のうちで相手に出会える保証はないのよ。一度出会ったときに確実に受精が完了していないと、種そのものが滅んでしまうの。
この本には上記のような、海洋生物の生態に関する描写がたくさん含まれています。
ぼくは、海を案内するという職業柄、こんな話が大好きなのですが、この本を読んでから、生物の進化って、極論 ”ラブストーリー” なんだなぁと考えるようになってしましいましたね。
海のロマンにあふれていながら、どうしてか胸がくるしくなる、人魚のラブストーリー。
女性には強くおすすめする一冊です。
「海の記憶を求めて」 ジャック.マイヨール 、ピエール.マイヨール
「深い海の静寂がこんなにも懐かしいのはなぜだろう…」
この本は映画「グランブルー」で有名な、伝説のダイバー、ジャックマイヨール氏が描いた唯一の海洋冒険小説です。
この本の構成は、 これまでフリーダイビングや、イルカやクジラなど水生哺乳類の研究を手がけてきたジャック・マイヨールが、兄ピエールとともに人類の起源や太古の人々と海との関わりを、海底調査をもとに検証する 、小難しめな論文に加えて、与那国の海底遺跡に関するジャックマイヨールの見解。アトランティス大陸は本当にあったのか?などのオカルト話も豊富に含んでいるのですが、この本に収録されている「海の十神」という海洋小説が面白い!
「海の記憶をもとめて」あらすじ
舞台は1970年代のフロリダ。水族館でエサやりとして雇われている若い男ジョナサンは、元アメリカ海軍のダイバー。今は自由で、うだつの上がらない暮らしをしている彼だが、また広い海の世界に飛び出したいと願っていた。
そんな彼が、フロリダの路上で知り合った、ホームレス同様の老人ジェリーは、実はもとドイツ海軍Uボート艦長。
ジョナサンは、大物テレビプロデューサーのディビットに援助を受けて、ジェリー、デイビットと共に、かねてより狙っていた、カリブ海域の財宝を引き上げる航海へとでるが、その海域は、アトランティス大陸が沈んだと考えられる、あのバミューダ―トライアングルだった。
勝手に感想
この本はジャックマイヨール氏に関して、「グランブルー」のイメージしか持ってないと、かなり以外に感じるほど、オカルトでハードボイルドですね。
ダイビングに関しての描写もダブルタンクにリザーブバルブなんてでてきて、かなり古い大時代的な描写が多いです。海から上がって冷えた体をすぐウィスキーをやることで温めたりするし。
かなり好き嫌いが分かれる作品だと思いますが、「カリブ海」という響きや「沈没船」にロマンを感じるタイプの人は読むべし!女性にはあんまりかな?
「 沈むさかな 」 式田ティエン
「このミステリーがすごい」大賞の 優秀賞受賞作 をとった完全なミステリー小説ですが、 全編にわたり、ダイビングの要素たっぷりの小説です
「沈むさかな」あらすじ
昔スイミングスクールのコーチをしていた父の下で起こった死亡事故と父自身の死の真相を探すための物語。
父の急死の真相を探るため、17歳の主人公は海辺のクラブに潜り込む。ダイバーの変死、製薬会社の暗躍、中絶斡旋の噂、ヒト再生研究など次々に沸き起こる疑惑。湘南を舞台にダイビングの魅力と謎解きが奇跡的に融合したサスペンスミステリーの傑作。
勝手に感想
海水魚に着いた寄生虫を取るために”淡水浴”という、魚を淡水に入れる方法があるのですが、入れられた魚は水の比重が軽いせいで、海にいるようにいかず、底に沈んでしまう。
本のタイトルと物語の鍵はここからきています。
最後に関心するようなミステリーの構成もさることながら、ダイビング自体が事件の謎を解く鍵なのがダイバーには面白いです。
17歳の主人公が、湘南でダイビングを始めて学んでいくところからずっと、ダイビングの描写が物語の最後まで続く、完全なるダイビング小説なのですが、ダイビングの描写やインストラクターの話し方がとってもリアルです。この作者は完全にダイビングはまってる人だなぁと、よくわかります。
物語に登場するダイビングインストラクターが堅物で熱い男なのですが、彼の説明などなかなかの名セリフ揃い
「ダイビングでは”水面に向けて落下する” という表現が的確だ。それは浅場のほうが気体体積の変化が大きいせいで、浮上するスピードをコントロールできない限り、水面に向けて加速度的に浮上してしまうことになるからだ。」
こんな言い回しとか、僕も拝借させていただいていますよ。
「 天国で君に逢えたら 」 飯島夏樹
1990年代に活躍したウィンドサーフィンのトッププロ 飯島夏樹氏
彼は38歳の若さで肝臓ガンによって亡くなってしまったのですが、その彼が闘病中の病床で一心不乱に書きあげた小説だそうです。
このお話は、大沢たかお主演の映画「LIFE」にもなりましたが、映画はいまいち、絶対小説で読んでください!
「 天国で君に逢えたら 」 あらすじ
ガン患者の心の叫びを代筆する“手紙屋”を病院内に開業した精神科医・純一。
彼の元には嘘つきな陸サーファー、放蕩を尽くした眼科医、失職しそうな元ヤンキー板前など、ひと癖もふた癖もある面々が依頼に訪れる。
そんなある日、家族のもとで最期を迎えようとハワイに帰った患者の妻から手紙が届いた……。
末期ガンに襲われた世界的ウィンドサーファーが綴る、奇跡のような愛の物語。
勝手に感想
自身のガン闘病中に書いた小説ということを信じられないほど、暗さのようなものを一切感じることのない、人間の温かみにあるれた作品です。
自分という人間の経験や感情を、物語で登場するすべてのキャラクターに少しづつ置き換えて描いているのでしょうか。
最高に暖かくて、さわやかで、やさしくて、まるでハワイの夕暮れの風になでられているような読了感です。(ハワイ行ったことないけど)
これはもう、どうもこうも泣きます。
最後に
こころに残る本に出会うのって、自分の現在の状態や、その本を広げた環境が大事ですよね。
”海を感じる本” できれば旅行に行く際、持っていって、ホテルでの朝食の後にコーヒーを飲みながらとか、ビーチの木陰で風に吹かれながらゆっくり読んでもらいたいかな。
この”海の小説おすすめ”の中から一冊でもピンとくるものがあって、読んでくれた皆さんの心に爽やかな海風を吹かせてくれたら幸いです。
それでは また!